「作品をまとめて見せる場所がほしい」と思ったとき、選択肢は意外と多くあります。SNS のタイムラインにそのまま置く人もいれば、投稿サイトにアップする人、ポートフォリオ専用のサービスを使う人もいます。どれが正解というものではなく、何を、誰に、どう見せたいかで向き不向きが変わります。
この記事では、イラスト・漫画のポートフォリオを「どこに置くか」を、置き場所の 3 つの類型と、選ぶときに見る 6 つの軸で整理します。同人・二次創作で気にする検索避けや合言葉の考え方、AI 学習対策で「できること・できないこと」にも触れたうえで、GreenHorn(グリーンホーン)で作品置き場を作る手順を紹介します。依頼を受ける予定がなくても使える内容です。
なお、他サービスの仕様は 2026 年 9 月時点で各社が公開している情報にもとづいています。機能や仕様は変更される可能性があるため、利用前に各サービスの最新情報を確認してください。
作品を「置く場所」は 3 種類ある
まず、置き場所を大きく 3 つに分けて考えると整理しやすくなります。
SNS のタイムライン
X などの SNS に作品を投稿し、プロフィールの固定ポストやメディア欄をポートフォリオ代わりにする方法です。フォロワーに届きやすく、反応がすぐ返ってくるのが強みです。一方で、投稿は時間とともに流れていき、過去の作品を探すのが難しくなります。作品をジャンルごとに分けて見せることもできません。センシティブな内容には警告を付けられますが、「この作品だけを特定の人に見せる」といった細かい制御には向いていません。
投稿サイト
pixiv のような投稿サイトは、作品を検索してもらえる母数が大きく、シリーズやブックマークで整理もできます。年齢制限の設定や、ログインした人だけに見せる公開範囲も用意されています。他方で、作品は「その場所の会員」に向けて並ぶため、あなた自身のページとしての見せ方には限りがあります。
ポートフォリオ専用のサービス
foriio やクロスフォリオのような専用サービス、あるいは GreenHorn のようにポートフォリオと依頼受付を一体にしたサービスです。作品をフォルダやコレクションに分け、自分のページとして見せられます。閲覧者の母数は SNS や投稿サイトより小さいため、「見つけてもらう場所」ではなく「見に来た人に見せる場所」として使うのが基本です。SNS のプロフィール欄にリンクを置き、興味を持った人を誘導する形が一般的です。
3 つは対立するものではなく、SNS で見つけてもらい、投稿サイトや専用サービスで見せるという併用が現実的です。問題は、その「見せる場所」に何を求めるかです。
選ぶときに見る 6 つの軸
置き場所を決めるとき、次の 6 つを順に確認すると、自分に必要な機能がはっきりします。
1. 作品を整理できるか
「イラスト」「漫画」「アイコン作例」「二次創作」のように、作品を種類ごとに分けて見せられるかどうかです。SNS では実質できません。投稿サイトではシリーズやタグで一部できます。専用サービスはフォルダやコレクションが基本機能です。作品数が 20 点を超えたあたりから、整理できないことの不便さが目立ってきます。
2. 漫画を「読ませられる」か
漫画は 1 枚絵と違い、複数ページを順番に読んでもらう必要があります。画像を 4 枚ずつ投稿する SNS では、ページ数が多い作品を読ませるのが難しくなります。縦読みと見開きの切り替え、右綴じ・左綴じ、表紙の扱いといった「読む体験」を用意できるかは、漫画を描く人にとって大きな差になります。
3. 見せる相手を絞れるか
「全員に見せる」「ログインした人だけ」「合言葉を知っている人だけ」「自分だけ」のように、公開範囲を段階的に選べるかどうかです。SNS は基本的に全員か鍵アカウントかの二択です。投稿サイトには限定公開の仕組みがあります。専用サービスでは、パスワードや合言葉による限定公開を無料で使えるものと、有料プランに含まれるものがあります。
4. 検索エンジンに載せないようにできるか
Google などの検索結果に自分のページや作品を出さない設定(noindex)ができるかどうかです。同人・二次創作で「検索避け」をしたい場合に必要になります。サイト全体としてはインデックスされる場所でも、作品単位で除外できるかどうかは分かれます。
5. R18・センシティブな作品の扱い
成人向け作品を、ログインしていない人や年齢確認をしていない人に見せない仕組みがあるか。センシティブな内容に警告文を付けられるか。これらが「表示を隠すだけ」なのか「画像そのものを渡さない」のかは、見た目では分かりにくいものの、実際の安全性は大きく違います。
6. AI 学習と無断転載への備え
投稿した画像が AI の学習データとして収集されにくくする設定や、無断転載の手間を上げる仕組みがあるか。これについては後の節で、「できること」と「できないこと」を分けて説明します。
同人・二次創作で気にする「検索避け」と「合言葉」の考え方
二次創作やカップリング作品を描く人にとって、「見たい人にだけ届き、見たくない人の目には入らない」ことは、作品を守るためというより、周囲への配慮とトラブルからの自衛のために長く続いてきた慣習です。検索避けや合言葉は、そのための手段として定着しました。
ポートフォリオを置くときも、この考え方はそのまま使えます。整理すると次の 3 段階になります。
- 検索避け(noindex): 検索エンジンからは見つからないようにする。URL を知っている人と、サイト内から来た人だけが見られる状態。
- 警告文: 作品を開く前に「カップリング表現を含みます」のような注意を出し、閲覧者が自分で判断してから見られるようにする。
- 合言葉: 合言葉を知っている人だけが開ける状態にする。SNS の鍵アカウントや、同人誌の頒布先など、既存のつながりの中で共有する。
この 3 つは組み合わせて使うものです。たとえば「一般向けの作品は誰でも見られる、カップリング作品はコレクションごと警告文付きで合言葉限定、ページ自体は検索避け」のように設定すれば、見せたい相手には届き、それ以外の人には見えない状態を作れます。
GreenHorn のセンシティブ設定と合言葉も、もともとはこの配慮と自衛のために作られた機能です。詳しい使い方は後の節で説明します。
AI 学習対策で「できること」と「できないこと」
AI 学習への対策は、多くの人が置き場所を選ぶ基準にしています。ただし、ここは正直に書いておく必要があります。インターネットに公開した画像を、AI の学習から完全に守る方法は現時点で存在しません。 できるのは「収集されにくくする」「無断転載の手間を上げる」ことまでです。
サービス側で用意できる対策には、次のようなものがあります。
- 学習拒否の宣言: ページに「AI 学習に使わないでほしい」という指示(noai、noimageai などのメタ情報)を付ける。これに従うかどうかは収集する側の運用次第で、強制力はありません。
- クローラーのブロック: AI 学習用のクローラーとして知られているアクセスを、サーバー側で拒否する。名乗らないクローラーや新しいクローラーには効きません。
- 画像の直接取得の拒否: 画像ファイルの URL を直接叩いても取得できないようにし、ページを経由した表示だけを許可する。一括収集の手間を上げます。
- 透かし: 画像にロゴなどを重ねて表示する。学習を防ぐものではなく、無断転載されたときに出どころを示す目的です。
- 右クリック・ドラッグの防止: 保存操作を一手間増やす。スクリーンショットは防げません。
GreenHorn ではこれらを組み合わせて提供していますが、スクリーンショットの禁止や、画像にノイズを加えて学習を妨げるような強い保護は行っていません。「対策をしているから安心」ではなく、「対策していない場所に置くより、収集されにくい」という位置づけで捉えてください。Glaze などのツールで画像自体に処理をしてから公開する方法と併用することもできます。
GreenHorn で作品置き場を作る
ここからは、GreenHorn で実際にポートフォリオを作る手順です。利用は無料で、依頼を受け付けなくてもポートフォリオは公開できます。プロフィールの公開設定と、依頼の受付状況は別の設定になっているため、「受付停止中」のまま作品だけを公開する使い方ができます。
1. プロフィールを作り、公開設定を決める
クリエイタープロフィールを作成し、公開・非公開を選びます。プロフィール全体を検索エンジンに載せない設定(noindex)もここで選べます。検索避けをしたい場合は、この段階で有効にしておきます。
2. 作品を登録する
作品は「イラスト」か「漫画」として登録します。対応形式は JPEG・PNG・GIF・WebP の画像と、漫画用の PDF です。漫画は複数ページの画像、または PDF をまとめて登録でき、縦読み・見開き、右綴じ・左綴じ、表紙の有無を設定できます。無料で見せるページ数を決めておけば、続きは非公開にしたまま冒頭だけを読ませることもできます。
作品ごとに、公開・非公開、オリジナル・二次創作・商業などのカテゴリ、販売ページへのリンク、そして作品単位の noindex を設定できます。プロフィールは検索に載せつつ、特定の作品だけ検索避けをする、といった使い分けができます。
3. コレクションで整理する
作品はコレクション(フォルダ)にまとめられます。「一般向け」「二次創作」「漫画」のように分け、プロフィールに最初に表示するコレクションを選んでおくと、訪れた人が迷いません。
4. センシティブ設定と合言葉を付ける
コレクション単位で、センシティブ設定を有効にできます。有効にすると、閲覧前に警告文(カップリング表現を含む、など自由に書けます)を表示する確認ダイアログが出ます。さらに合言葉を設定すると、合言葉を入力した人だけがそのコレクションを開けるようになります。合言葉は GreenHorn に登録していない人でも入力できるため、SNS のフォロワーや同人誌の読者に合言葉を伝えるだけで、限定公開が成立します。
5. R18 作品は R18 に設定する
成人向けの作品は、作品ごとに R18 の設定を付けます。R18 に設定した作品は、ログインしていない人や 18 歳未満のユーザーには表示されません。この判定はサーバー側で行われ、画像の URL 自体が渡らない仕組みになっています。センシティブ設定が「見る人の判断に委ねる」ものであるのに対し、R18 設定は「見られない状態にする」ものです。用途に合わせて使い分けてください。
6. AI 学習対策を設定する
プロフィールの設定から、AI 学習対策(クローラーのブロック、学習拒否のメタ情報、右クリック・ドラッグの防止)と、透かしの表示・濃さを設定できます。作品ごとに透かしのオン・オフを変えることもできるため、すでに Glaze などで処理済みの作品は透かしを外す、といった使い方ができます。
依頼を受けたくなったら
ポートフォリオを置いているうちに「依頼を受けてみたい」と思ったら、受付状況を「受付中」に切り替え、料金表を登録するだけで、同じプロフィールから依頼を受けられるようになります。作品置き場を別のサービスに移す必要はありません。
依頼を受けるための作品の選び方や、依頼者が見ている情報については 依頼が来るポートフォリオの作り方 を、受注前に決めておく条件(修正回数・利用範囲・支払い・キャンセル)については 依頼を受けるときの条件の決め方 を参照してください。
よくある質問
Q. 依頼を受けるつもりがなくても GreenHorn を使えますか?
使えます。プロフィールの公開と依頼の受付状況は別の設定なので、受付を「停止中」にしたまま作品だけを公開できます。料金表の登録も必須ではありません。
Q. pixiv や X と併用するべきですか?
併用をおすすめします。SNS や投稿サイトは「見つけてもらう場所」、専用サービスは「見に来た人に見せる場所」と役割が違います。SNS のプロフィール欄にポートフォリオのリンクを置き、興味を持った人を誘導する形が一般的です。
Q. 合言葉付きのコレクションは、GreenHorn に登録していない人も見られますか?
見られます。合言葉を知っていれば、ログインしなくても入力して開けます。ただし、R18 に設定した作品は合言葉とは別に年齢確認が必要で、ログインしていない人には表示されません。
Q. AI 学習対策を有効にすれば、学習には使われませんか?
完全には防げません。学習拒否の宣言やクローラーのブロックは「収集されにくくする」ための仕組みで、従わない収集者には効きません。透かしや右クリック防止も、無断転載の手間を上げる目的のものです。公開する以上、リスクをゼロにはできないことを前提に、Glaze などの画像処理との併用も検討してください。
免責: 本記事の内容は 2026 年 9 月時点の公開情報と GreenHorn の仕様にもとづいています。各サービスの機能や仕様は変更される可能性があります。AI 学習対策は収集を困難にするための仕組みであり、学習や無断転載を完全に防止するものではありません。
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